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松葉ガニの競り風景

 但馬は日本海に面しているため、晴れているかと思えば、にわかに雨が降り、「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるほど、よく雨が降る。冬は「うらにし」と呼ぶシベリアからの北西の風が吹き、海はよく時化しけるので漁に出られない日が続くこともある。「船底一枚下は地獄」と言われ、船に乗っている人は命をかけている。
 但馬では沖合底曳き網、沖合イカ釣り、ベニズワイガニかごの沖合漁業を中心にして、沿岸イカ釣り、沿岸一本釣り、定置網、採貝藻などの沿岸漁業が営まれている。沖合底曳き網の操業期間は、9月から翌年5月末頃までであり、その主要な漁獲物であるズワイガニ(松葉ガニ)オスは、11月6日〜翌年3月20日頃まで。メスは11月6日〜12月末頃まで。水ガニは1月20日〜2月末まで(状況、地域により自粛あり)。ベニズワイガニは、9月1日〜翌年5月末日までカニかごで漁獲される。最近では各港でズワイガニのブランド化がはかられ、厳しい選別のもと、水揚げ港名・漁船名を記したタグがつけられている。
 鮮魚としては、ハタハタホタルイカ、ノドクロ、ニギス、カレイ類、サバ、アジ、エビ類、タイ、トビウオ、ドギ(トウロ・グベ・ノメ/一般的にはノロゲンゲ)、カワハギ、ハマチ類、スルメイカ、白イカ、赤イカ(ソデイカ)などがとれる。
 貝藻類では、サザエ、アワビ、イガイ、イワガキ、ワカメ、ジンバ、モズク、アカモクなどをとる磯見漁の操業期間は通年(地域により自主規制あり)。サザエやアワビは、小型船を操りながら箱メガネで岩場などを探しながら見つけてとる。
 魚の加工品としては一夜干しが中心である。ハタハタ、カレイ、ニギス、スルメイカなど水揚げしたら、ウロコや内臓、エラなどをとり除き、真水できれいに洗って、塩水につける。金串(ステンレス製)や、竹串に刺して、海風のよくあたる場所でのれんのようにぶらさげて干していたが、最近はこの光景が見られることが少なくなった。
 干物のほとんどは乾燥機で仕上げている。みりん干しの材料はアジ、イワシ、サバなどが主で、しょう油、みりん、砂糖などの調味液につけ、平カゴに並べて乾燥機で干し、仕上げる。ほかにも、ちくわ、かまぼこなどの練り製品を始めとして、さまざまな加工品がつくられている。

所在地 豊岡市、香美町、新温泉町
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